Google PPSは何も分類していない。だからこそビッドエンリッチメントが本質的な作業になる

青と緑のパフォーマンスチャートと世界地図が表示された、ダークテーマの分析ダッシュボードを映すノートパソコン

最近、パブリッシャーから同じ質問を繰り返し受けている。「すでにNeuwoのコンテキストシグナルをPrebid経由で運用しているが、GoogleのPPSはそこにどう関わってくるのか、そもそも関わる必要があるのか」というものだ。

もっともな疑問だ。そして、これだけ頻繁に聞かれるようになった以上、きちんと答えておく価値がある。

PPSとは実際には何なのか

PPSはPublisher Provided Signalsの略称である。Google Ad Managerに搭載された機能で、パブリッシャーがGoogleのデマンドサイド、およびそこに接続されている認可済みバイヤーに対して、ユーザー単位のトラッキングデータを一切渡すことなく、ページとオーディエンスについて整理・標準化された説明を提供できるようにするものだ。

略称を外してしまえば、これは単純な発想である。ビッドリクエストがほぼ空のまま、あるいはサードパーティCookieだらけの状態で送出される代わりに、パブリッシャー側でラベルを付与する。「このページはリフォームに関する内容だ」「この読者はアウトドア用品に関心を示している」といった具合だ。Googleはこれらのラベルを、IAB自身のタクソノミーを用いて標準化した。

  • IAB Content Taxonomy 2.2: ページの内容を表す
  • IAB Audience Taxonomy 1.1: 想定される読者層を表す

これにより、受け手側のバイヤーは、どのパブリッシャーから送られてきたラベルであっても、同じように解釈できるようになる。

これは純粋に有用な仕組みだ。コンテキスト情報のないビッドリクエストは、バイヤーにとってはコイントスに等しい。一方、標準化されたコンテンツラベルとオーディエンスラベルが付いたビッドリクエストは、DSPが自信を持って判断材料にできるものになる。

最初に断っておくべき点がある。PPSはGoogle Ad Manager 360の中でしか存在しない機能だということだ。標準版のGAMを利用している場合、コンテキストシグナルの質がどれほど優れていても、有効化できるPPSタブ自体が存在しない。Google Certified Publishing PartnerによるMultiple Customer Managementを通じて間接的にGAM 360相当のアクセスを得ることは可能だが、標準版GAM単体では、この経路は利用できない。ただし、以下で説明するNeuwoのビッドエンリッチメントによるPrebid経由の仕組みは、GAMのティアに関係なく独立して動作するため、そのまま同様に適用できる。

長らくベータ版のままである理由

世に出回っている解説コンテンツの多くが、少し前のめりになりすぎている部分がここだ。PPSは新しい機能ではない。Googleが土台づくりを始めたのは2022年9月にさかのぼり、IAB Tech LabのSeller Defined Audiences仕様を、後にPPSとなるものへと組み込んでいった。そしてPPS自体は2023年を通じて正式にベータのラベルを付けられたままだった。今日でもGoogle自身のドキュメント上で「Beta」のタグが付いている。

なぜここまで長くベータのままなのか。理由の一端は、前提となる状況そのものが変わってしまったことにある。PPSは、Chromeからサードパーティ Cookieが廃止される、Cookieレスなウェブを見据えて設計されたものであり、その廃止はGoogle自身のスケジュールに沿って進むはずだった。しかし、そのスケジュールは実現しなかった。Googleは2024年、Privacy Sandboxの代替施策の性能不足と業界側の準備不足を理由に、ChromeにおけるサードパーティCookie廃止方針を撤回した。今日でもChromeはCookieを引き続き利用している。SafariとFirefoxはCookieを使用していないが、両者を合わせてもデスクトップブラウザトラフィック全体の約9%程度に過ぎない。

つまり、パブリッシャーがPPSの導入を急ぐべきだとされた最大の理由が、静かにその緊急性を失っていったわけだ。導入のペースも、当初喧伝されていたものより小さく、より限定的な課題を解決する機能であることを踏まえれば、妥当な速度で進んでいる。具体的には、SafariやFirefoxのトラフィック、アプリ、CTVなど、ビッドストリーム内のコンテキストシグナルが本当に薄い領域が対象だ。

だからといって、PPSが無意味だということにはならない。3年前に喧伝されていたような、Cookieを丸ごと置き換える包括的なソリューションではなく、的を絞ったツールだということである。

適切なシグナルを実際に届けられているか

ここがパブリッシャーに対してあまりはっきりと語られてこなかった部分だ。**PPSは配信の仕組みであり、分類エンジンではない。**シグナルを格納するための標準化された封筒を提供してくれるだけであり、そのシグナル自体を生成してくれるわけではない。

自力でPPSを設定するパブリッシャーの多くは、結局のところ手作業に頼ることになる。既存のキーバリューや、すでに持っている少数のファーストパーティオーディエンスセグメントを、Googleがサポートするタクソノミーカテゴリにマッピングする作業だ。それでも機能はするが、誰かが手作業で構築したセグメントの範囲しかカバーできず、そのセグメントがたまたま触れているトラフィックにしか適用されない。つまり、PPSの効果は、そこに投入する分類の質次第でしかない。薄く、手作業で作られたセグメントを入力すれば、薄いシグナルしか出てこない。PPSはそれ自体を改善してくれるわけではなく、与えられたものをそのまま配信するだけだ。

すでにNeuwoのビッドエンリッチメントを運用しているパブリッシャーであれば、コンテンツ側の対応はすでに完了している。Neuwoが処理するすべてのページは、記事単位で、サイト全体にわたって、誰かが手作業でタグ付けしたページだけでなく自動的にIAB Content Taxonomy 2.2に基づいて分類され、PPSが本来運ぶことを想定しているダイナミックなブランドセーフティスコアリングも併せて生成される。したがって、PPSのコンテンツおよびブランドセーフティシグナルを有効にすることは、新たな分類プロジェクトを立ち上げることを意味しない。Neuwoがすでに生成しているシグナルを、Googleがすでに受け取る用意をしているチャネルにマッピングするだけの作業だ。

コンテンツ側の処理は、既存のセットアップと並行して、同じ基盤分析から動作する。Neuwoはより広いオープンオークション向けにPrebidのRTDパスへシグナルを供給し、同じContent Taxonomy IDを、GoogleデマンドおよびAuthorized Buyers、すなわちAd Manager内にあるGoogle自身のサードパーティDSPマーケットプレイス向けに、Google Ad ManagerのPPS設定へルーティングすることもできる。

実際に収益へつなげるには

PPSから何らかの成果を得ているパブリッシャーと、有効化しただけで放置しているパブリッシャーとを分けるポイントがいくつかある。

デフォルトのチャネルだけでなく、すべてのデマンドチャネルを有効にすること。 Googleの公式セットアップガイダンスでは、Demand Channel Settingsにおいて4つのチャネルすべてを同時に有効化することを推奨している。Authorized Buyers(Google自身のサードパーティDSPマーケットプレイス)、Open BiddingおよびSDK Bidding(サードパーティのビッダーが競争に参加する他の経路)、そしてGoogleデマンド(Ads、DV360といったGoogle自身のアドバタイザーサイド)である。多くのパブリッシャーは、自動生成された初期設定の範囲にとどまったまま、見直しをしていない。

静的なリストではなく、実際の分類データを供給すること。 手作業でマッピングした少数のセグメントは、すぐに陳腐化し、在庫全体のごく一部しかカバーできない。公開のタイミングで全記事にわたって自動生成されるシグナルこそが、PPSがトラフィックの15%にしか触れていない状態と、100%に触れている状態との違いを生む。

チャネルごとに何を実際に共有しているかを確認すること。 Googleのインターフェースでは、セキュアシグナル、サードパーティ識別子、ファーストパーティ識別子を同一のリクエストで一緒に送出するかどうかを、チャネルごとに制御できる。デフォルト設定が、意図的に選びたい設定と一致しているとは限らない。

置き換えではなく、追加として捉えること。 PPSは、スタック全体のうちGoogleと接続している部分に投入されるシグナルを強化するものであり、Prebid経由で動いているそれ以外のプログラマティック環境には影響しない。パブリッシャーがPPSから最大限の効果を得られるのは、すでにうまく生成できているシグナルをもう一つ流し込む先として捉えたときであり、それ単体を新たなシグナル戦略として位置づけたときではない。

どこから始めるべきか

すでにNeuwoのビッドエンリッチメントを運用しているのであれば、それをPPSにマッピングする作業は、新たなインテグレーションではなく、短い打ち合わせで済む話だ。ぜひご連絡いただきたい。実際の在庫でどのように機能するかを一緒に確認する。

まだNeuwoでコンテンツを分類していないのであれば、そこがまず取り組むべき部分だ。PPSの効果は、結局のところそこに投入するものの質を超えることはない。

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